【 奨 励 賞 】
私が今の仕事に取り組むようになってから気付いたことがあります。それは、今の勤務場所である米 軍基地内のホテルにおける経験から感じたことです。
同僚であるアメリカ人はとにかく楽に働くことを追求します。無論全てのアメリカ人がこのような訳 ではありませんが、真面目に仕事に取り組むといった日本人であればかならず要求されることを、彼らはまずしません。
中には日本人に比べて不真面目で仕事を任せられない、という人もいます。彼らは、確かに熱心に仕事をするわけではありません。しかし自分に指定された範囲の仕事には最低限度の労力で取り組むのです。
結果をみると、ルーティンの仕事とはいえ仕事は過不足なく回っています。日本人のように真面目に 熱心に取り組むのではなく片手間に取り組んでいるのに、です。
私は、この点から日本人が学ぶべき働き方があると感じました。それは、「怠けて働く」ということで す。
このように書くと、多くの方々からなんて怠惰な人なのだろうとお叱りを受けることでしょう。
日本人には、何事にも熱心に一生懸命取り組む事を美徳とする文化があります。もちろんそれには仕事も含まれます。私は、その文化自体を否定するつもりはありません。
しかし昨今は、ブラック企業の問題などからもわかるとおり一生懸命働いた結果、心身共に疲れ果て てしまうケースが少なくありません。
これらはブラック企業側の経営者に責任があることは明確ですが、一方で労働者にも取れる対策があります。それが、怠けて働くということです。
企業の経営者は朝礼などで「100%力を出し切って」とか「120%の努力で売り上げ達成を」などと訓示をします。ですが、本当に100%の力を出して勤務をしたら次の日には倒れてしまいます。
これらの表現はただの比喩にすぎず本当にやる人なんかいない、と考える人もいるでしょう。ではた だの比喩に過ぎないのだとしたら、どうして実際には過労による死亡や自殺はなくならず、こうも世間で問題になるのでしょうか。
本人の要領が悪いから、といった部分に原因を求めることももはや限界に来ています。
日本人は、積極的に「怠ける」必要があると私は考えています。ただでさえ同調圧力により実際には 怠けることができないためです。
怠けることが目的ではありませんが、プレミアムフライデーやアフター5に対する取り組みは、日本 社会にとって必要なことだと感じます。今はまだお題目の段階で実際には何も変わっていなくても、変 わるための布石になるためです。
このような意味で積極的に「怠け」、効率最重視以外の視点や考え方を持つことが生産性を上げ、長期的には企業に利益をもたらします。
社会全体が働き方に対して「怠け」を認め許容することができるようになったら、その時こそ日本の 企業は活力を再び取り戻し、若い人が笑顔で働きながら人生を楽しむ事ができるようになるのではないかと考えています。