【 奨 励 賞 】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
「働く」ということは「学び」
山口県立山口高校通信制 杉 本 優希子 28歳

基本的に私は働くのは好きだが、「もう辞めてやる!」と思ったことは一度や二度ではない。通信制高 校に通いながらの仕事との両立は思ったより大変であり、ドロドロした人間関係に悩むこともしばしば だ。介護職という職業柄、命の終わりに立ち会うこともあるし、悲しいことや腹の立つことも毎日のよ うにあり、日々自分の感情に振り回されている。

それでも私は働くのが好きだと思う。何故かというと、自分で考え、学んだことを発信できるからで ある。社会に出ると、それまでとは違い、お金という対価をもらう代償として、責任が付いてくる。ま た当然のことであるが、働かなければならない。働くというのは単に「動く」ということだけではない。考えて行動をすることではないかと私は思う。自分の考えを発信して聞いてもらい、同じように他の人 の意見にも耳を傾ける。そしてベストな状態になるよう試行錯誤していく。それこそ働く楽しさではな いかと私は考える。

しかし、私が今、働くのが好きと言えるのは同じ職場で働く先輩たちが、よい環境を作ってくれてい るからに他ならない。キャリアが何十年と違う大先輩方が、この仕事に就いて三年程度の私の意見に耳 を傾け、色々と助言してくれ、しっかりと背中を押してくれるのだ。自分が積極的に発信できる土壌を 作ってくれているのである。そして何より嬉しいのは、信頼して任せてもらえることだ。あなたが勤務 しているから今日は大丈夫だね、とか安心だねと言われると、本当に心から嬉しい。今までやって来た ことが認められたような気持になり、もっと頑張りたくなる。

今年、私にも初めて年下の後輩ができた。今まで私が先輩にしてもらったように優しく後輩を支えよ うと思っているのだが、これがなかなか難しい。つい後輩に手厳しい小言を言ってしまう。なるべく優 しい先輩でありたいと思うのだが、きっと口うるさい先輩と思われているかもしれない。それでも、「はい、分かりました!」としっかり返事をくれる後輩の素直さにとても助けられているし、教わることも 多い。

そんな私が今、伝えられることがあるとしたら、それは働くということは学びであるということだろ う。生涯教育という言葉があるが、今は雇用年齢も高齢化し、生涯労働ともいえるかもしれない。そん な中で、合う職場、合わない職場と色々あるだろうが、一つでも考えたり、学ぶことがあれば、それは 一生ものだと思う。今後も常に学びを念頭において、楽しみながらしっかり働きたいと思う。

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